「グリーフ」ってなに?多くの人が知らないけど実は知っているグリーフ

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私たちが生きていくなかで、老若男女を問わず、誰もが何か大切なものをなくした経験があることでしょう。

お財布を落としたことがあるかもしれませんね。「なぜこんなことに」と自分を責めたことはありませんか? 子どものころ親の転勤で転校し、初めての友達との別れに涙した経験は? 髪の毛が抜けて見た目が変わり、鏡に映る自分が「別人だ」と感じたことは? 恋人と別れたとき、一緒に築いた未来が突然消え去ったような感覚は? 子供が成長して家を出たとき、自分の役割が終わる寂しさを覚えたことは? もう大人なんだから、なんて言葉で、妥協して諦めた夢や理想に別れを告げたことは? 大好きな人が認知症になり、思い出や絆が消えていく痛みに胸を押さえたことは? 故郷がダムに沈み、美しい思い出の場所が永遠に失われた時の無力感を感じたことがあるかもしれません。

こんな小さなことも大きなことも、すべてが「グリーフ」と呼ばれる心のプロセスの一部です。
言葉にならないさまざまな気持ちや普段と違う自分に気が付いたかもしれません。

「グリーフ」とは、人やモノ、環境、自分の理想など、かけがえのない失われたモノすべてに感じる深い反応です。
「グリーフ」という言葉は普段あまり耳にすることが少ないですが、誰もが経験したことがある体験です。このプロセスは私たちの感情、思考、行動、身体にまで大きな変化をもたらします。「グリーフ」は死別の悲しみという意味で使われることが多いですが、実はそれに限られるものではありません。

「グリーフ」という言葉は普段はあまり耳にすることのない特別な言葉です。ですが、とても大切な時にこの言葉が重要な役割を果たしています。
特に、大切な人を失ったとき、その方の近くで、その痛みを理解しようとし、その悲しみに共感し、支える人々が使っています。

そして、大切な人とのお別れの時、自分自身を支えようとするときにたどり着く言葉が「グリーフ」です。

誰が「グリーフ」という言葉を使っているの?例えば・・・

  1. 遺族支援グループ:遺族会や遺族コミュニティでは、大切な方を失った方が集まり、お互いの話を聞き合います。「グリーフ」という言葉を使って、自分の体験や気持ちを共有し、励まし合います。
  2. 医療従事者:看護師や医師をはじめとする医療従事者は、死別の状況で患者やその家族が直面するさまざまなトラブルに対処するためこの言葉を使います。
  3. 福祉関係者:生きることの延長線として、とくにお看取りを含むACP(アドバンス・ケア・プランニング)の場面で「グリーフ」の言葉を用い、旅立つ方と家族を支えます。
  4. 心理カウンセラー:この気持ちを誰かに気持ちを話したいときに心理カウンセラーが聞いてくれます。彼らは「グリーフ」という言葉を使って、その方の心が少し楽になるように手助けします。
  5. 研究者:心理学、社会学、医学、宗教学、哲学などさまざまな分野で、なぜ人が悲しむのか、それがどう心と体に影響するかを研究しています。「グリーフ」の複雑さと、個々の経験の違いなどが研究されています。
  6. 宗教者:災害時にボランティアで祈りの光を届けた僧侶の姿が記憶に残っている方も多いでしょう。多くの宗教で癒やしと救いの教えがあり、祈りや儀式などのかたちで心に平安を届けます。
  7. 葬祭関係者::日々出会う方々が死別直後であるため経験が豊富です。社会にアプローチするよりも個人の体験としてのお葬式が増えてきた今、「グリーフ」を大切に考える葬儀社が増えています。つらい時期に家族の負担を減らし、悲しみを乗り越えられるように寄り添います。

「グリーフ」という言葉は、悲しいときやつらいときに、誰かの心を支えるために多くの人に使われています。それぞれの人が、この言葉を通じて少しでも心が軽くなることを願っている美しい言葉です。

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